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2015年12月の定期宅配お宝干し芋今月の定期宅配干し芋を発送しました

真冬まで大事に保存しておいた“紅はるか”を、
時間をかけて蒸かし、20日かけて天日干ししました。

20日近くかけて仕上げる厚切りほしいもは、干し場での手入れは欠かせません。

厚切り芋は、大寒から立春にかけての、干し芋の旬の時期にしか作ることができません。

糖度が高い紅はるかの甘さを、平ほしいも以上に引き出しています。

厚切りほしいもは、嗜好品としての干し芋の新しい形です。

もしサツマイモの保存性が優れているとしたら、稲や麦と同じく主食とされていたかもしれません。

稲は熱帯から温帯でしか育たないので、それ以北では麦を主食として育てています。
どちらも穀物の種で乾燥させれば保存性が良いという主食には欠かせない特徴があります。

サツマイモも種ですが、その保管は高湿度でできれば13℃前後でなければできません。
稲や麦のように保存性を高めて、常温で保管するということは無理です。

同じ場所で、稲は田んぼでサツマイモは畑でになりますが、それぞれを栽培すると、稲よりもサツマイモの方が多量に収穫ができます。
稲は同一条件で麦よりもはるかに収量が多いのですが、サツマイモは稲を凌ぎます。
太陽エネルギーをデンプンとして蓄積する能力が高いのです。

主食の条件として、天候不順でも実が成ること、たくさん収穫できることが重要で、サツマイモはこの二つの条件では稲を凌ぎますが、もうひとつの大事な条件の保存性の高さが決定的に欠けているのが、主食に成りえない理由です。

稲の場合は、稲刈り後に数パーセント(概ね2~3%位)水分率を下げれば、モミ殻のままなら半永久的に保存できるようになります。

現代の日本では飢饉の心配はありませんが、まだ食料が不足する時代には、保存が利くことは絶対条件で、単に日々の食料の確保ということだけでなく、種を保存できなければ、翌年は即死活問題になることでした。

干し芋は保存できるサツマイモの形態ですが、干し芋にしてしまえば、もう種芋にはできません。
食料として確保する難しさ以前に種芋を持たせることも昔は困難だったはずです。

だから昔は、サツマイモを保存食とするのが干し芋にする目的でしたから、収穫してすぐに干し芋加工するということが当たり前でした。

そこで加工しやすく仕上がりやすいということが優先され、そこに当てはまったのが平ほしいもです。

今月のお宝ほしいもは、紅はるか厚切りほしいもです。

厚切り芋は平ほしいもよりも2倍近い厚さにスライスします。
仕上がるまでには20日近く、平ほしいもの2倍以上掛かります。
これだけの時間干し場に置くので、暖かい日がある時期は避けなければなりません。
丸干し芋同様に、真冬にしかできない干し芋です。

前述しましたが、サツマイモの保存の好条件は13℃前後です。
秋に収穫してすぐに加工したいのは、真冬まで持たせることがリスクになるからです。
だから、厚切りほしいもは、昔のように干し芋の目的が保存食だったことから離れて、嗜好品としてどこまで高品質に出来るかが目的の干し芋です。

サツマイモは寒くなればなるほど保存が難しくなりますが、同時に干し芋加工の甘みは増していく原料になります。
特にその傾向が強いのが“紅はるか”です。

そして、厚くスライスすることにより、平ほしいもでは味わえなかった適度に水分が残った蜜のような甘みと、やわらかい食感が得られます。

そんな厚切り芋ですが、やはり作る干し芋農家はまずいません。
理由は簡単で、手間隙が掛かるからです。

今はもう、干し芋はどこまで美味しくできるかを競う食品だと、タツマでは捉えています。
その一つの形が厚切りほしいもです。

これからも試行錯誤しながら、より美味しい干し芋作りに励もうと思っています。

今年もお世話になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。

2015年12月4日 株式会社タツマ
福井保久